「えんきん」は効くのか?論文の批判的吟味をしよう♪

えんきん

「えんきん」

という健康食品をご存じでしょうか?

ファンケルという会社が販売しています。

けっこう宣伝しているので、ご存じの読者も多いのではないでしょうか?

 


「手元のピント調節力」と「ぼやけの緩和」に。


とアピールしていますね。

こういう健康食品は、「病気に効く」と言うことは法律で禁じられています。

が、このように、症状を表示することは認められています。

消費者からしたら、「こういう症状がある病気に効くんだな」と思っちゃいますね(^_^;)

 

しかも。

パッケージには、


  • 「臨床試験済み」
  • 「成分文献評価済み」

と、ハンコを押したような表示があります。

いかにも、「どこかのちゃんとした機関からお墨付きをもらっていますよ!」

というイメージを持たせようとしているかのようです。

 

私、こういうのを見ると、つい発動してしまうのです。

いつもの「ひねくれモード」が(^_^;)

 

そこで、今回は、「えんきん」の効果を検討した臨床試験の論文[1]を「批判的吟味」させていただきますm(_ _)m

「批判的吟味」については、以前の記事をご覧ください

以前の記事はコチラ→野草酵素は効くのか?論文の批判的吟味をしよう♪

1.「ASCON」さんによる「えんきん」の臨床試験論文の考察

実は、「えんきん」の効果を疑っているのは私だけではありません。

といいますか、私よりもっとずっと前に、「えんきん」の臨床データは不十分という見解を出している団体があります。

「ASCON」という団体です。

 

正式には、「一般社団法人 消費者市民社会をつくる会」というらしいです。

この団体では、機能性表示食品を科学的に評価しているようですね。

その中に「えんきん」がありました[1]。

「日本国民の健康を増進させるため、信頼性が低い健康食品を明らかにしていこう!」

ということなんでしょう。

エライですねー(^o^)

私もそういうのを目指しているので、とっても共感できます♪

 

さて、この「ASCON 」が下した「えんきん」の評価は、以下のようなものでした。

「見解不一致」

 

これは、ASCON とファンケルの間の見解が一致しなかったということです。

「えんきん」の論文については、ASCON とファンケルは、質問↔回答のやりとりをしたのです。

そこで見解が一致しなかったとのことです。

やり取りの一部をかいつまんで紹介しますね♪

ASCON の質問:「えんきん」には4つの成分が入ってますけど、何でその4つを入れたの?要らなそうなのもあるけど!?

ファンケルの回答:その4つで、使っている人から「効果実感の声」があるからです。

ASCON :それは科学的根拠なくなくないじゃないですか?

ファンケル:この4つの成分で臨床試験をしちゃってるんで。変えるつもりはないっす。これで効果ありそうだし。問題も出てないからいいでしょ!

 

とまあ、多少わかりやすくアレンジしましたが、こういうやりとりがされました。

んで、結局「見解不一致」となったというわけです。

また、ASCON は、 4つも入れて、安全性大丈夫?と心配していました。

 

うーん。

あまり噛み合っていないというか。

サラリとかわされたというか。

ちょっとよくわからんですね(^_^;)

なので、私の方でも、この「えんきん」論文の信頼性を見てみたいと思います。

2.「えんきん」の臨床試験論文の批判的吟味

「えんきん」の臨床試験は、48名の中年の方を対象に行われました。

それを半分に分けて、24名に「えんきん」、24名に「プラセボ」を4週間飲んでもらいました。

「プラセボ」とは、「えんきん」にそっくりの錠剤だけど、有効成分は何も入ってなくて、でも「えんきん」と見分けがつかないものです。

 

検討したのは、以下の2つです。

①一番注目したこと「ピント調節機能を改善するか?」→ピント調節機能を測定

②二番目に注目したこと「15項目の症状が改善したか?」→アンケート

 

結果は以下の通りです。

①ピント調節機能の測定

ピント調節機能については、以下の3つを評価しました。

  • 利き目
  • 利き目と反対の目
  • 両目

 

その結果、プラセボと比べて「近点調節機能」が改善したのは、「両目」だけでした。

「利き目だけ」「利き目と反対の目だけ」 の場合は、差が認められませんでした。

 

この結果をみて、どう思うでしょうか?

「両目で改善してるならいいじゃん!」

と思われるかもしれませんが。

 

でも、これではいけません。

なぜか?

「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる作戦」だからです。

正確には「多重性の問題」と言います。

詳しくは、以前の記事をご覧ください→ビタミンやミネラルのサプリメントで健康・長生きできると思ってはいけません(後編)

 

この結果で、3つのうち何か一つだけ、例えば「利き目」だけ「改善」したとしても、この研究者は「効いた!」と言うでしょう(゜ロ゜)

何個も調査すれば、改善効果が出る確率が高くなるのです。

実際には、それは「改善効果」ではなく「たまたま」の可能性があるのですが。

 

ま、ぜんぜんダメダメな結果というわけではなさそうでした。

3つのうち一つは、まあ良い結果だったようなので。

10回撃ってやっと的に当たったのではなく、3回で的に当たったということなので。

もしかすると、「まぐれ」ではなく、「実力」の可能性もあるかもしれません(^^;)

ま、本当に実力があれば、1回で的に当てるんですけどね(^^;)

惜しい結果だったので、もう一度やって確かめれば良いと思います。

 

②アンケート

15項目の症状について、

「えんきん」で改善したか?

というアンケートが行われました。

このうち、プラセボに比べて「えんきん」で改善したという結果になったのは、「肩・首のコリ」だけでした。

 

このアンケート結果について、論文では、 他にも効果があった症状がいくつかあったと主張していました。

が、そんなことはありません。

4週間飲んで、飲む前より改善していたのは、確かにいくつかありましたけど。。。

それ、プラセボのグループでも、改善してますよ!

 

わかりますでしょうか?

4週間飲んで、飲む前より改善していたとしても。

プラセボも同じように改善していたら、その改善効果は「えんきん」によるものではないのです。

つまり。

「えんきん」を飲まなくても、放っておいても良くなっていた症状だった、ということです(^^;)

 

ということで、「えんきん」の効果は、以下の式であらわせます。

「えんきんの効果」=「えんきんグループの効果」-「プラセボグループの効果」

 

この研究者はデータの見かたを理解していないんじゃないでしょうか。

何のために、プラセボのグループを設定したのでしょうか?

と、聞いてみたくなります(=゚ω゚)ノ

ぼく、びっくりしちゃいました。

 

それに、これも「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる作戦」をしていますね。

15個も調べたら、たまたま1個くらい「えんきん」の方で良い結果になることもそりゃあるでしょう(゚∀゚ )

3. まとめ

一番注目していた「ピント調節機能」は、ちょっと惜しかったのですが、残念(>_<“)

「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる」の論理によって、「信頼できる」というところまで至りませんでした。

こういうとき、病院で処方される医薬品だと、きっと、国からこう言われるでしょう。

「惜しかったね(^^)もう一度臨床試験をして確かめてからまた来てね♪」

 

ということで、「えんきん」を日常生活に取り入れるか?

と聞かれたら、私は「不採用」と答えます。

安全性もはっきりしていませんしねー。

 

あと。

「えんきん」は効かないと言っているわけではありませんので。

念のため申し上げておきます。

論文で、「えんきん」は効いた!と言ってるのも言い過ぎですがね(>_<“)

 

「えんきん」が効くかどうかを検討したけど、「効いた!」と判断することはできなかつた。

というのが私の見解です。

今後、今回の曖昧な結果をはっきりさせる臨床試験をして、良い結果が出たときには、また考え直します。

【参考文献】
[1] Immunology, Endocrine and Metabolic Agent in Medicinal Chemistry, 2014, 14, 114-125

おわり。