予防接種否定論がある理由

予防接種否定論がある理由

予防接種は効くのか?

私の周りでも、関心を持っている方がたくさんいます。

よく聞くのはこの2つですね。

「インフルエンザの予防接種を受けたけど、インフルエンザになつちゃったよ!?予防接種なんて効いてないよ!」

「インフルエンザの予防接種を受けてない友達も、インフルエンザにならなかったよ!?予防接種なんて意味ないんじゃね?」

でも、あえて言いましょう。

予防接種は効きます!

といいますか、ワクチンには予防効果があるという、信頼性が高いデータがあります。

 

ということで、今回は予防接種についてお話しします。

予防接種は、インフルエンザだけでも、毎年あることです。

人生で何度も直面することです。

これを知っているのといないのとでは、今後の人生のスタンスがかなり変わってくるでしょう。

1. 予防接種は効くのか?

冒頭でお話ししました通り、予防接種の効果はあります。

そのお話しをするためには、まず、予防接種の考え方を整理する必要があります。

 

予防接種には「効く派」と「効かない派」の賛否両論がありますね

それは、ワクチンは、すべての人にとって100%効果があるわけではないからです。

 

これは、ワクチンだけの話ではありません。

医療全般的に言えることです。

物理法則と違って、医療は100%ではありません。

どんなにシンプルな手術でも、成功率100%はあり得ません。

どんなに効く薬でも、100%同じように効く薬はありません。

医療の「不確実性」と言われていますね。

 

ここは大切なところなので、十分な理解が必要です。

医療を否定する人は、「効かなかった患者」の例を持ってくるのが常套手段なのですから。

そして、こう言います。

「ほら見ろ、効いてないじゃん!」

また、こういう人は、多くの「効いた人」を無視するのも常套手段です。

 

ワクチンの場合で言うと、その効果はやはり「不確実」です。

人によっては、予防接種しても、その病気になってしまうことはあります。

その一方で、予防接種しなくても、病気にかからない人もいます。

インフルエンザがいちばん身近な予防接種ですかね。


そもそも、予防接種とは、どういうものでしょうか?

「もともと病気でない人」に対して、ワクチンを投与して、病気の発症を予防するためのものですね。

どういうことか?

「効果があった」ということは「何も起こらない」ということなのです。

つまり、予防接種は、効果があったことを実感しにくい性質のものなのです。

そこが、病気の患者に薬が効いた場合と大きく違うところですね。

 

整理すると、こういうことです。

対象 症状 投与した結果 効いた実感は?
病気の人 辛い・痛い 病気が治る わかりやすい
ワクチン 健康な人 何もない 何も起こらない わからない

 

一方、ワクチンは、稀(まれ)に「副反応」が起こる場合があります。

「副反応」というのは、良くない症状のことです。

注射したところがハレたり、熱が出たり。

そういう困った反応のことですね。

 

予防接種についてまとめると、こういうことになります。

・何も起こらなくて当たり前(でも実はヒソカに効いている)

・副反応が起こった場合はわかりやすい

ワクチンに対する否定的な意見。

それは、「健康な人が受ける医療」という性質が、大きく影響していると言えるでしょう。

2. 予防接種の副反応はどう考えるべきか?

予防接種で副反応が起こると、製薬会社や病院は、国に報告する義務があります。

一般的に、ワクチンの副反応報告は、100万接種あたり6~250件くらいです[1]。

確率で言うと、0.0006~0.025%となりますね。

そのうち、重い副反応の確率は、0.00009~0.0026%(医療機関からの報告)。

 

これが多いか少ないかは、何と比べるかとか、個人の感覚にもよるでしょう。

また、少なければ良いというわけでもありません。

要は、予防接種することで受ける「利益」と「不利益」のバランスを考えて、接種すべきか判断することが大切なのです。

 

副反応については、もうひとつ、お話ししておきたいことがあります。

例えば、予防接種した翌日、何か具合が悪くなったとします。

果たして、それは確実に副反応と断言できるでしょうか?

 

私たちの日常生活では、普通に具合が悪くなりませんか?

風邪をひいたり(>_<)

頭が痛くなったり(>_<)

お腹がいたくなったり(>_<)

私は頭痛持ちで、しょっちゅう頭が痛くなります(+_+)

 

つまり、具合が悪くなったのは


ワクチンを打ったからなのか

打たなくても悪くなっていたのか


わからない場合があるのです。

 

でも、 予防接種の後に具合が悪くなったとき、どう思いますか?

普通はこう思いますよね?

「これって予防接種のせいじゃね?」

つまり、こういうことです。

「予防接種後に見られる症状は、ワクチンが原因かそうでないかの区別が難しい」

 

ではどうしましょう?

これって、予防接種の「前の状態」と「後の状態」を、同じ人間の中で比べるから、こういう区別できない問題が起こるんですよね。

「じゃあ、ワクチンを打った人と、打たなかった人で比べればいいじゃないか!」

となりますね。必然的に。

具体的には、こうします。
 ↓

<例1>

①実験に参加する人を、2つのグループに分ける。

  • グループA:ワクチンを注射した人たちのグループ
  • グループB:ワクチンを注射しなかった人たちのグループ

②この2つのグループで、その後に起こる症状を比べる。

それで何がわかるか?

  • グループAの方が、インフルエンザにかかった人数が多い→ワクチンが効いてそう!
  • グループAの方が明らかに多い副反応=ワクチンの副反応っぽい!

ということですね。

 

また、こういうやりかたもあります。

実際は、研究の実現可能性を考慮して、こっちの方が採用されるのが多いです。

<例2>

①実験に参加する人を、2つのグループに分ける。

  • グループC:インフルエンザになっちゃったグループ
  • グループD:インフルエンザにならなかったグループ

②両者のワクチン接種率を比べる(どっちのグループで、ワクチン接種が多かったか?)

それで何がわかるか?

  • グループDの方がワクチン接種が多い→ワクチンが効いてそう!
  • ワクチン接種した人が明らかに多い副反応=ワクチンの副反応っぽい!

 

こういう研究方法は、ワクチンの効果や副反応の区別をしやすいですね。

また、誤った解釈をする恐れも、比較的少ないです。

そのような信頼性が高い試験で、 予防接種の効果と安全性を確かめた結果を、次回お話ししますね♪

3. まとめ

予防接種は、「もともと病気でない人」に対して、病気の発症を予防するためのものです。

効果があったことを実感しにくいのです。

一方、副反応はわかりやすく、注目されがちです。

そのような性質から、予防接種否定論が根強く浸透していると言えるでしょう。

 

ワクチンの副反応は決してしょっちゅう起こるものではありません。

それに、ワクチンのせいかどうかわからない症状も、副反応に含まれがちです。

つまり、ワクチンの副反応は過大評価されがちなのです。

感覚ではなく、客観的にデータを見て欲しいのです。

 

ただ、一つ念のため申し上げておきます。

私は決して、

「ワクチンには副反応がないから安全だ」とか

「予防接種の後に起こった症状は、すべてワクチンを打たなくても出たものだ」とか

「ワクチンの副反応は問題視すべきでない」とか

そのようなことを言っているわけではありません(>_<“)

 

前述したように、ワクチンには副反応が起こり得ます。

起こった人にとっては深刻なものです。

医療に携わる人は、副反応が起こった患者さんに対して、全力でケアしなければなりません。

 

今回の記事の意図は、こういうことです。
 ↓

  • ワクチンについて、「効いてないっぽい」とか「具合悪くなりそう」という感覚やイメージを持たないでね。
  • 先入観や偏見を持たず、信頼性の高いデータを見てみてね。
  • データを確かめた上で、ワクチン接種することのメリットとデメリットのバランスを考えてね。
  • その上で、自分や家族が予防接種を受けるかどうかを判断してね!

次回は、インフルエンザに関するお話をします。

次回のお話も含めて、予防接種を考える機会になればいいなと思います。

次回はコチラ→インフルエンザワクチンは効くのか?(前編)

【参考文献】
[1] 厚生労働省資料 各ワクチンの副反応報告件数(最終閲覧日:2018年10月24日), https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000032bk8-att/2r98520000032br2.pdf

おわり。